序 節『 穏やかなる海 』


 「せかい」と呼ばれる丸くて青い世界とは、ずいぶんと遠くはなれた、ある世界での物語。

 そこは「ミアプラキドス」という名で人々に呼ばれる世界だった。国によって「世界」の呼ばれ方は異なっていたが、その言葉だけはどこへいっても、誰にでも通じるのだった。それはこの世界をつくりあげたという四柱の神々の言葉で、穏やかなる海、という意味なのだそうだ。
 イェソド大島とよばれる、人住まわぬ島を中心において世界の地図を見たときに、東側には二つの「巨大陸」とよばれる陸地があった。北にある歪んだ四角形をしたのが「コクマビナー巨大陸」、南の三日月が「イアフルーティ巨大陸」と、それぞれに名がつけられている。

 そのうちのイアフルーティ巨大陸の真ん中あたりに、世界を見守ると伝えられる、広大な森が横たわっていた。








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