『 竜 の 主 、 焔 の 主 』

放てその咆哮 いにしえの唄とともに
我が命揺さぶれ 汝 その魂をもちて

大気を震わせる 小刻みの律動
遠雷のひびき 豪雨のちから
いのちの雫 めぐり来る夏
ゆるやかなる猛き声にて われ汝の再来を祝せり

母なる星よ その病を打ちやぶられよ
増殖する病源どもの 無垢なる黒きこころを
大いなる業火の腕で いま 抱きよせたもう

きざまれた時の果てで われに唄をささげよ
ひとり眠りし永遠の檻に 鍵をあてがえ
さすれば従おう 汝の美しき憎悪に

虐げたものどもには 復讐を
知らぬふりの者には 制裁を
大地踏み割るほどの 鉄槌を下してくれよう
われらが同胞へ 祝福と叫びの協奏曲をそえて

儚きは人の夢 霧か霞か形をもたぬ
われはひとの悪夢(ゆめ)
この爪で逃げ惑う者どもを 葬りつづけよう

汝のこころゆくまで われのこころ鎮まるまで



 著者不明 『星の祈り』作中『契約の章』より一部抜粋
 初版・出版社共に不明 現在「竜のたまご」社より再版



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